野沢温泉


野沢温泉 「常盤屋旅館」 (宿泊)
源泉名 :薬師の湯・千人風呂(野沢温泉村大字豊郷字野沢9325-6)
泉質 :単純硫黄泉(緊張性低張性高温泉)
泉温 :63.6度C pH .8.1 成分総計 856.3mg/kg   (Mg:3.2,HS:13.1、H2S:1.2)
:薄白濁 臭い :薄硫黄臭 :微硫黄味      
 
野沢温泉にある老舗の温泉旅館です。大湯の隣にあります。以前宿泊した「かめや」は大湯を挟んだ向かいにあります。野沢温泉の中では大きな部類に入る旅館ですが、内部はかなりレトロなフンイキが溢れています。大分手入れはされていますが、館内のいたる所に痛みが現れてきています。ここも野沢温泉では貴重な独自源泉宿の一つです。名物は「千人風呂」です。以前雑誌で写真を見て以来ちょっと気になっており、ようやく今回宿泊して入浴することができました。
有名な「千人風呂」の浴室は時間で「薬師の湯」と入れ替えになります。「千人風呂」の浴室には内湯×3があります。20人ぐらいが入れるものと7〜8人が入れるもの、5〜6人が入れる岩風呂があります。大浴槽はなかなか見事な造りの浴槽で大きな光明皇后様の石像から勢いよく源泉が注がれています。顔が硫黄のせいでちょっと黒ずんでいます。もう50年以上もお湯を注ぎ続けているのだそうです。勢いよく注がれているお湯の半分以上は浴槽には注がれず、残念ながら捨てられています。
捨て湯が多く浴槽に注がれているお湯の量はそれほど多くはありません。そのせいか湯守さんがしょっちゅう湯温を調整しにきます。浴槽内のお湯はややぬるめになっており、薄く白濁しています。ほんのり硫黄臭が香り肌触りは柔らかなもので入り心地は良いです。御影石で形作られた浴槽の縁に腰掛けてふうっとため息をついてしまいます。ここのお湯は一切加水をせず源泉の投入量で湯温を調整しているのだそうです。野沢温泉では少数派かもしれません。
中ぐらいの大きさの浴槽は大きな浴槽を小さくした感じのもので、お湯はやや熱めです。一番奥にある岩風呂風の浴槽のお湯は白濁度が高く、ここは硫黄臭も強く感じられます。気のせいか焦げ硫黄臭も感知でき、ひょとするとここは別源泉なのかもしれません。お湯もやや熱めでなかなか良いですが浴槽が浅いのが難点です。大きな浴槽には白い湯花と黒い湯花が大量に舞っています。少しとろみ感のあるまろやかなお湯です。もうちょっとだけ湯温が高ければかなり良いのですが。
「薬師の湯」の浴室は12〜3人が入れるひょうたん型のものと、5〜6人が入れる岩風呂風のものとがあります。ひょうたん型のは「千人風呂」を小型にしたような感じのもので、お湯もほとんど同じような感じがします。ただ透明度は一番高いかもしれません。湯花も少な目です。
もう一つのお風呂がなかなかユニークでステージのように一段高い所に作られています。元々他のものがあったような感じです。ここのお湯は完全に白濁したお湯で、他のように透明度はありません。浴槽がとても浅いので入りにくいですが、温泉気分は十分味わえます。
館内には飲泉所もあり、ペットボトルに入れて温泉を持ち帰ることもできます。かなり源泉にこだわっている姿勢が随所に見られます。分析表のコピーも持ち帰りできるようになっています。今回は宿泊しましたが、施設面がやや古くなってきているものの、歴史の感じられる雰囲気の良い宿だと思います。従業員の接客態度がかなり良いです。
食事はどちらかというと年配者好みのものになっており、上品な味付けとメニューです。量も適当で美味しくいただけますが、やや物足りないと感じる方もいるかもしれません。意外に地のものや季節の野菜(きのこ)が出てこなかったのがちょっと残念でした。勿論熊谷家は今回も全員完食です。
ここの宿には分析表がいろいろあり下記のようなものありました。


「千人風呂」71.3度C 昭和の湯、他3本混合泉
「薬師の湯」68.5度C

たぶん浴槽によって源泉が使い分けてあるような、あるいはブレンドが違うような感じを受けました。(2003/09/28/PM7:30)


長野の温泉へ戻る